PyMICROPSIA: AridViperからの新しい情報窃取トロイの木馬

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Conceptual image illustrating the concept of malware, such as PyMICROPSIA, the malware family discussed here

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概要

パロアルトネットワークス脅威インテリジェンスリサーチチームUnit 42は、中東地域を標的とする脅威グループAridViperを追跡してきました。このリサーチ中、MICROPSIAマルウェアファミリと関連している新たな情報窃取型トロイの木馬が特定されました。このことは、攻撃者が活発な開発プロファイルを維持し、標的の防御をかいくぐろうとする新しいインプラントを作成しているということを示しています。この新しいマルウェアファミリはPythonで作成されていることから、弊社ではこれをPyMICROPSIAと名付けました。

以下の図1は、PyMICROPSIAマルウェアファミリの機能の概要と以前のAridViperのアクティビティで観測された類似事項を示しています。PyMICROPSIAの機能の調査中に、攻撃者のインフラストラクチャでホストされている2つのサンプルを新たに特定しました。PyMICROPSIAはそのデプロイ中に、これらのサンプルをダウンロードし、使用します。この2つのサンプルは、後で述べる永続化とキーロギングの機能を提供します。

PyMICROPSIAの主な機能としては、ファイルのアップロード、ペイロードのドロップと実行、ブラウザの認証情報窃取、スクリーンショット、キーロギング、ローカルマシン情報の収集、ファイルの管理と流出、Outlook情報の収集、音声のレコーディング、およびコマンドの実行があります。
図1.PyMICROPSIAの概要

本稿では、PyMICROPSIAの機能と目的を詳述し、そのコマンド アンド コントロール(C2)の実装を分析します。また、以前のAridViperのアクティビティがPyMICROPSIAに起因することを示唆した主な観測結果も取り上げます。

パロアルトネットワークスの次世代ファイアウォールをご使用のお客様は、WildFireURLフィルタリング、およびDNS Securityのサブスクリプションによって、本稿に記載されている攻撃から防御されています。また、AutoFocusおよびCortex XDRによっても防御されています。

PyMICROPSIAの分析

PyMICROPSIAには、以下を含むさまざまな情報窃取およびコントロールの機能があります。

  • ファイルのアップロード。
  • ペイロードのダウンロードと実行。
  • ブラウザの認証情報の窃取。ブラウザ履歴およびプロファイルのクリア。
  • スクリーンショットの取得。
  • キーロギング。
  • 窃取した情報をRARファイルに圧縮。
  • プロセス情報の収集とプロセスの強制終了。
  • ファイルリスト情報の収集。
  • ファイルの削除。
  • マシンのリブート。
  • Outlook .ostファイルの収集。Outlookプロセスの強制終了と無効化。
  • ファイルとフォルダの削除、作成、圧縮、および流出。
  • ファイルの流出など、USBドライブからの情報の収集。
  • 音声レコーディング。
  • コマンドの実行。

実装の概要

PyMICROPSIAは、Pythonで作成され、PyInstallerを使用してWindows実行可能ファイル化した情報窃取トロイの木馬です。

PyMICROPSIAは、Pythonで作成された情報窃取トロイの木馬であり、PyInstallerを使用してWindows実行可能ファイル化されています。
図2.PyMICROPSIA内のPyInstaller文字列

その主な機能は、さまざまなスレッドを初期化して複数のタスクを定期的に呼び出すループを実行することで実装されています。その目的は、情報の収集とC2オペレータとのやり取りです。

PyMICROPSIAの主な機能は、ここに示すように、さまざまなスレッドを初期化して複数のタスクを定期的に呼び出すループを実行することで実装されています。その目的は、情報の収集とC2オペレータとのやり取りです。
図3.メイン コード ループ

攻撃者は、組み込みPythonライブラリと特定のパッケージの両方を含む複数の興味深いPythonライブラリを利用してその目的を達成しています。以下は、情報窃取固有のライブラリの例です。

  • PyAudio: 情報窃取機能用。
  • mss: スクリーンショット機能用。
PyMICROPSIAは、ここに示すように、音声窃取機能用にPyAudioライブラリを使用します。
図4.音声レコーディング用PyAudioライブラリ
PyMICROPSIAは、ここに示すように、スクリーンショット取得用にmssライブラリを使用します。
図5.スクリーンショット用mssライブラリ

WindowsプロセスWindowsレジストリ、ネットワーキング、ファイルシステムの操作など複数の目的で、Python組み込みライブラリの使用が想定されています。

ここに示すように、Windowsレジストリの操作のために、Python組み込みライブラリの使用が想定されています。
図6.Windowsレジストリの操作
ここに示すように、Windowsプロセスの操作のために、Python組み込みライブラリの使用が想定されています。
図7.Windowsプロセスの操作

Windowsオペレーティングシステムのその他の特定の操作については、以下のようなライブラリが使用されています。

PyMICROPSIAは、Windows Management Instrumentationの操作のためにWMIライブラリを利用します。
図8.USBの操作のためのWMIの使用
PyMICROPSIAは、win32security APIの操作のためにwin32securityおよびntsecurityconライブラリを利用します。
図9. win32securityとntsecurityconの使用

PyMICROPSIAのコードと機能の詳細な分析については、「参考情報」を参照してください。

コマンド&コントロール

PyMICROPSIAは、単純なHTTP POSTベースのC2プロトコルを実装し、呼び出す機能に応じて通信中にさまざまなuniform resource identifier (ユニフォームリソース識別子 – URI)パスおよび変数を使用します(実装の詳細については、「参考情報」を参照してください)。

次の表は、PyMICROPSIAにおけるURIパスと対応する機能の概要を示しています。

パス メソッド
/zoailloaze/sfuxmiibif/samantha 要求の削除。登録解除。
/zoailloaze/sfuxmiibif/lashawna デバイスの登録。
/zoailloaze/sfuxmiibif/matheny コマンド出力データの送信。
/zoailloaze/sfuxmiibif/uiasfvz USBデバイス情報
/zoailloaze/sfuxmiibif/daryl 要求の削除。
/zoailloaze/sfuxmiibif/qprbudls ペイロードのダウンロード。
/zoailloaze/sfuxmiibif/nyrvoz ダウンロードURL。
/zoailloaze/sfuxmiibif/hortense1 ファイルのアップロード。

表1 設定フォルダおよびファイルの主な目的

同じく重要な点は、分析したPyMICROPSIAサンプルには、C2関連コードで、応答の処理時に実行されないコード分岐が複数あることです。これは、攻撃者が依然としてアクティブにこのコードに取り組んでいる可能性を示唆しています。次の表に、到達可能なコードセクションに基づいて、標的のマシンで実行されるコマンドとアクションの概要を示します。

コマンド アクション
Lee 新しいデバイスの登録。
Renee デバイスの削除。
Rapunzel ブラウザの認証情報を窃取してC2にアップロード。
Mulan プロセスリストの収集とアップロード。
Silverman TXT形式でのファイル情報の収集とアップロード。
Eeyore Firefoxのプロファイルの削除とデバイスの登録解除。
Pocahontas JSON詳細形式での圧縮済みファイル情報の収集とアップロード。
InfoCinder システム内のドライブに関する情報の収集とアップロード。

表2 到達可能なC2コマンドとアクション

AridViperは新しい攻撃ベクトルに取り組んでいるか?

PyMICROPSIAは、Windowsオペレーティングシステムのみを標的とするように設計されていますが、コードには、”posix”や”darwin”など他のオペレーティングシステムかどうかをチェックする興味深いスニペットが含まれています。これは興味深い発見です。これまでこれらのオペレーティングシステムを標的とするAridViperを発見したことがなく、これは攻撃者が探察を開始しようとしている新しい領域を表している可能性があります。

現時点では、発見されたコードは単純で、Pythonコードの作成時にコピー アンド ペーストした一部の可能性もありますが、いずれにしても弊社は新たなアクティビティのリサーチでこれを監視していく予定です。

追加のペイロード

C2とのやり取り中に、PyMICROPSIAは2つの追加のサンプルをダウンロードし、標的のシステムにドロップして実行し、追加の機能を実行します。これらのペイロードはPythonおよびPyInstallerをベースにしていません。

キーロガー機能

これはキーロギング機能がPyMICROPSIAの一部としてネイティブに実装されていない興味深いケースです。代わりに、このサンプルは特定のペイロードをダウンロードします(ペイロードのダウンロード方法については、「参考情報」の「ファイルのダウンロード機能」のセクションを参照してください)。

このペイロードはファイル名”MetroIntelGenericUIFram.exe”でダウンロードされ、以下のSHA-256を持っています。

381b1efca980dd744cb8d36ad44783a35d01a321593a4f39a0cdae9c7eeac52f

このサンプルは以下のGetAsyncKeyState APIメソッドを使用してキーロギング機能を実装します。

PyMICROPSIAのサンプルはネイティブでキーロギング機能を実装しません。その代わりに、GetAsyncKeyState APIメソッドを使用してそれらの機能を実装します。
図10.キーロガーGetAsyncKey()コード

これには、メインのPyMICROPSIAサンプルによって初期化されるディレクトリ構造に直接関係するハードコードされた設定があるため、それに従ったコンパイルが必要です。これは、PyMICROPSIAによって作成される特定のディレクトリ(“ModelsControllerLibb”)の下で実行する必要があり、”HPFusionManagerDell”フォルダの下にキーストローク情報を格納します。

ハードコードされた設定パラメータには、キーストローク情報の格納先であるHPFusionManagerDellフォルダが含まれています。
図11.ハードコードされた設定パラメータ

キーロガーは情報をHPFusionManagerDellディレクトリに、以下のファイル名構造と形式でドロップします。

キーロガーは情報をHPFusionManagerDellディレクトリに、ここに示すファイル名構造でドロップします。
図12.キーロガーの出力ファイル形式
キーロガーは情報をHPFusionManagerDellディレクトリに、ここに示す形式でドロップします。
図13.キーロガーのファイルコンテンツ構造
永続化

このマルウェアサンプルの永続化は、以下のようにPythonコードの一部として実行されるレジストリキーの設定など、通常のメソッドで実現可能です。

このマルウェアサンプルの永続化はレジストリキーの設定によって実現可能であり、ここに示すPythonコードの一部として実行されます。
図14.レジストリキーの永続化

ただし、この実装における永続化に関して興味深いことがあります。このサンプルは、C2サーバーから別のペイロードをダウンロードします(詳細については、「ファイルのダウンロード機能」のセクションを参照してください)。このペイロードの名前は”SynLocSynMomentum.exe”で、以下のSHA-256を持っています。

9c32fdf5af8b86049abd92561b3d281cb9aebf57d2dfef8cc2da59df82dca753

このサンプルは以下の特定のパラメータで実行されます。

SynLocSynMomentum.exe ModelsControllerLibb ModelsControllerLib

これはスタートアップメニューにコピーされるショートカット.lnkによって永続化を設定します。特筆すべき点は、このコードが、Pythonコードに既に存在している機能の量を考慮して、別のペイロードとして実行されることです。

他のMICROPSIAアクティビティとの関係

弊社は、中東地域に関連した最近のMICROPSIAのアクティビティを調査中に、PyMICROPSIAを発見しました。そのマルウェアには以下の例などそのアクティビティをAridViperに関連付ける複数の側面が存在しています。

コードの重複

このサンプルについて最初に注目した点は、そのC2の実装と機能が既知のMICROPSIAサンプルによく似ていることです。例については、RadwareおよびCheck Pointによる以前のリサーチでのC2の説明を参照してください。

また、MICROPSIAの各サンプルにわたって観測された戦術、手法、手順(TTP)は、流出用データの圧縮にrar.exeが使用されていたことです。このバージョンでは、rar.exeはC2インフラストラクチャからダウンロードされ、以前のサンプルで観測されたものとよく似たパラメータで使用されています。

例については、MICROPSIAの最新のサンプルでのrar.exeの使用方法を参照してください。

SHA-256: 3c8979740d2f634ff2c0c0ab7adb78fe69d6d42307118d0bb934f03974deddac

C2通信の類似性

複数のMICROPSIAサンプルで観測されたURIパス構造は、PyMICROPSIAサンプルのものと似ています。たとえば、同じ最近のMICROPSIAサンプルを調べると、URIパスのランダムな文字と構造を観測できます。

SHA-256:
3c8979740d2f634ff2c0c0ab7adb78fe69d6d42307118d0bb934f03974deddac

hxxps://jaime-martinez[.]info/sujqbrgpb/bztjpskd/rxkwjt
hxxps://jaime-martinez[.]info/sujqbrgpb/bztjpskd/zxfsyadoss/gM69sY
hxxp://jaime-martinez[.]info/sujqbrgpb/bztjpskd/tpmpyyzwg
hxxps://jaime-martinez[.]info/sujqbrgpb/bztjpskd/ouwmhf/ImoOEJ
hxxp://jaime-martinez[.]info/sujqbrgpb/bztjpskd/ouwmhf/voT8FY
hxxp://jaime-martinez[.]info/sujqbrgpb/bztjpskd/rxkwjt
hxxp://jaime-martinez[.]info/sujqbrgpb/bztjpskd/zxfsyadoss/TocLI5
hxxps://jaime-martinez[.]info/sujqbrgpb/bztjpskd/ouwmhf/9WnKfe
hxxp://jaime-martinez[.]info/sujqbrgpb/bztjpskd/zxfsyadoss/pyPaqj
hxxps://jaime-martinez[.]info/sujqbrgpb/bztjpskd/ouwmhf/HRabCX

使用されるテーマ

過去には、MICROPSIAのコードおよびC2の実装ではThe Big Bang TheoryGame of Thronesなど特定のテーマの言及がみられましたが、この新しい実装も同様で、図15および16のように複数の有名俳優の名前の言及がコード変数および使用しているインフラストラクチャの両方に複数含まれています。

MICROPSIAは、コードにThe Big Bang TheoryやGame of Thronesなどテーマの言及があることが知られています。上記の俳優Fran Drescherの言及は、以前観測されたテーマの言及と同様と思われます。
図15.MICROPSIAは、コードにThe Big Bang TheoryやGame of Thronesなどテーマの言及があることが知られています。上記の俳優Fran Drescherの言及は、以前観測されたテーマの言及と同様と思われます。
MICROPSIAは、コードにThe Big Bang TheoryやGame of Thronesなどテーマの言及があることが知られています。上記の俳優Keanu Reevesの言及は、以前観測されたテーマの言及と同様と思われます。
図16.MICROPSIAは、コードにThe Big Bang TheoryやGame of Thronesなどテーマの言及があることが知られています。上記の俳優Keanu Reevesの言及は、以前観測されたテーマの言及と同様と思われます。

また、「コマンド アンド コントロール」セクションで説明したように、C2活動には多数のDisneyの言及が含まれています。

もう1つ興味深いのは、コード内にアラビア語のコメントが存在することです。

これは、偽フラグの可能性がありますが、このマルウェアサンプルの地域属性に関係している可能性もあります。

結論

AridViperは、武器の一部として新しいツールの開発を続けているアクティブな脅威グループです。PyMICROPSIAについては、MICROPSIAなど他の既存のAridViperツールとの複数の類似点が観測されています。また、弊社が分析したPyMICROPSIAのさまざまな側面に基づくと、このマルウェアにはまだ使用されていない複数のセクションがあります。これは、この攻撃者がアクティブに開発中のマルウェアファミリである可能性が高いことを示しています。

パロアルトネットワークスのお客様は、次の方法で本稿で概説した攻撃から保護されています。

  • MICROPSIAとPyMICROPSIAを含むすべての基地のAridViperツールは、WildFireでは悪意があると判定されています。
  • AutoFocusをご使用のお客様は、AridViperの攻撃者とそのツールを追跡できます。
  • Cortex XDRは、PyMICROPSIAとそれがドロップするペイロードの両方をブロックできます。
  • C2ドメインは、URLフィルタリングとDNS Securityでコマンド アンド コントロールと分類されています。

IoC

PyMICROPSIAのサンプル

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MICROPSIAのサンプル

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AridViper Infrastructure

baldwin-gonzalez[.]live

jaime-martinez[.]info

judystevenson[.]info

robert-keegan[.]life

benyallen[.]club

chad-jessie[.]info

escanor[.]live

krasil-anthony[.]icu

nicoledotson[.]icu

samwinchester[.]club

tatsumifoughtogre[.]club

参考情報: PyMYCROPSIAマルウェア分析

以下のPyMICROPSIAの分析は、以下のサンプルに基づいています。

SHA-256: 46dae9b27f100703acf5b9fda2d1b063cca2af0d4abeeccc6cd45d12be919531

マルウェアの初期化

環境と設定

マルウェアの初期化の一部として、PyMICROPSIAの以下の2つの主な側面を取り上げることが重要です。

  • さまざまな目的で複数のフォルダを作成する。
  • C2サーバーのリストを定義する。
ここに示す初期化中のディレクトリ構造には、さまざまな目的を持つ複数フォルダの作成が含まれます。また、これによってC2サーバーのリストが定義されます。
図17.初期化中のディレクトリ構造

初期のマルウェアの設定で定義されるファイルおよびフォルダごとの主な目的を、次の表に示します。

ディレクトリ 目的
Rar_com_Folder RAR圧縮済み情報用のストレージ。
DevName RAR圧縮済み情報用のストレージ。
DevNameSound 音声レコーディングされたファイル用ストレージ。
DevNameKeyPress キーロガー出力情報用ストレージ。
MyFolderName 多用途フォルダ。設定、収集された情報の出力などを格納する。
downloadNameApp C2からダウンロードされたアプリケーション用ファイル名。
NameApps C2からダウンロードされたアプリケーション用ファイル名。
NameAppShurt 永続化のために作成されたショートカット用ファイル名。

表3 設定フォルダおよびファイルの主な目的

デバイスの識別子

デバイスは、コンピュータ名、ユーザー名、およびランダムに生成されたコードの組み合わせに基づいて識別されます。コードは、生成されると多用途フォルダ“MyFolderName”に格納されます。

コードは、生成されると、ここに示すように多用途フォルダ
図18.デバイス名の初期化

この識別子関数は、C2との通信中に標的を追跡するために使用されます。

C2の選択

ネットワークの観点からは、以下のように、マルウェアは特定のパスへのPOST要求による接続テストに基づいて設定済みリストからC2サーバーを選択します。

ネットワークの観点からは、ここに示すように、マルウェアは特定のパスへのPOST要求による接続テストに基づいて設定済みリストからC2サーバーを選択します。
図19.ネットワーク上のC2の選択

そして、その結果として選択されたドメインを多用途フォルダ”MyFolderName”に格納します。

そして、ここに示すように、その結果として選択されたドメインを多用途フォルダMyFolderNameに格納します。
図20.選択されたドメイン設定ストレージ

メインのアクティビティループ

初期のセットアップ完了後、マルウェアの機能は、ループに入ることで以下のように開始されます(図3を参照)。

  • 音声レコーディングとファイルのアップロードのための複数の独立スレッドが開始されます。
  • 永続化、キーロギング、スクリーンショット、およびC2オペレータとのやり取りといった主要領域に対応する複数の特定のタスクが定期的に実行されます。

C2の実装

プロトコルの実装

プロトコルの実装は単純です。メッセージが、呼び出す機能に応じてさまざまなURIパスおよび変数を使用してHTTP POST要求を介して送信されます。

たとえば、ファイルのアップロードでは、HTTP POST要求が以下のように作成されます。

この要求には以下が含まれます。

  • URIパス: ‘/zoailloaze/sfuxmiibif/hortense1’
  • “terrel”変数の下のマルチパート エンコード ファイル。
  • ‘beau’、‘type’、および‘FComp’の変数を使用したフォーム エンコード データ。
  • この場合の‘beau’のように、いくつかのパラメータは複数の構成要素を含めることができ、それらは‘;’を使用して区切ります。

応答の受信時に、実行する操作が含まれていた応答は、区切り文字として‘;’を使用して区切った構成要素を持つ文字列によって送信されます。たとえば、以下のコードスニペットは、C2オペレータとの通信と、応答の処理方法を示しています(簡潔にするために興味深い部分のみ記載しています)。

この応答は、‘;’区切り文字で区切られ、その位置に応じて、各状況によってプレーンテキストまたはbase64エンコードで受信できるパラメータが含まれます。

以下の表は、C2とのやり取りで使用するパスとパラメータ、およびそれらの機能の概要を示しています。

パス メソッド 変数
/zoailloaze/sfuxmiibif/samantha 要求の削除。登録解除。 beau
/zoailloaze/sfuxmiibif/lashawna デバイスの登録。 beau
/zoailloaze/sfuxmiibif/matheny コマンド出力データの送信。 beau、terrel
/zoailloaze/sfuxmiibif/uiasfvz USBデバイス情報 beau、type
/zoailloaze/sfuxmiibif/daryl 要求の削除。 arturo、beau
/zoailloaze/sfuxmiibif/qprbudls ペイロードのダウンロード。 beau
/zoailloaze/sfuxmiibif/nyrvoz ダウンロードURL。 beau
/zoailloaze/sfuxmiibif/hortense1 ファイルのアップロード。 beau、type、FComp、terrel

表4 C2とのやり取りで使用されるバスとパラメータ、およびそれらの機能

C2オペレータとのやり取り

メインのアクティビティループに基づいて、C2サーバーの定期的な呼び出しがあり、それはデバイスに関する情報(デバイス識別子)およびディスクの最後の変更時刻の送信によって開始されます。

興味深いのは、これが最後のディスクアクティビティ日付をキャプチャする方法です。このコードは、それが未完成であることを示し、この場合、タイプは‘4’であり、日付の代わりに常に文字列‘empty’を返します。

コード全体でこのような実装の例は複数あります。それは、未完成または継続中の実装を示し、攻撃者がそのサンプルをアクティブに開発中であることを示しています。

前に述べたように、応答文字列は区切り文字で区切られ、C2オペレータによって送信されたコマンドおよびエンコードされたパラメータが解析されます。興味深いのは、コマンド内にDisneyの言及が多数含まれていることです(過去には、たとえばThe Big Bang TheoryやGame of Thronesなどのキャラクターに言及する変数が使用されたAridViperがありました)。

ここに示すC2コマンドのリストには、Disneyの言及が複数含まれています。
図21.C2コマンドの例

未完成のコードに関するもう1つの興味深い例は、C2の実装に含まれる一部の分岐と機能をコードが通過できないという事実です。たとえば、以下のコードスニペットでは、コードが“Mulan”分岐に入ると、“Vanellope”コードブロックには入りません。

これも、実装が未完成で、開発中である可能性を示すシグナルです。

表2は、コードの実行によって到達可能なコマンドの概要を示しています。

情報窃取およびコントロールの機能

このマルウェアサンプルには、現在のC2実装で到達可能かどうかに関係なく、以下を含むさまざまな情報窃取およびコントロールの機能があります。後続のセクションでは、このマルウェア ファミリの実装方法を可視化するために、最も関連性の強い機能のみを説明します。

音声レコーディング

音声レコーディングは、pyaudioおよびwave Pythonライブラリを使用して実現されます。データは“DevNameSound”フォルダに格納されます。

音声レコーディングは、pyaudioおよびwave Pythonライブラリを使用して実現されます。データは“DevNameSound”フォルダに格納されます。
図22 音声レコーディングの実装

レコーディングは、対応するフォルダに格納され、実行中のスレッドとオペレータコマンドによって、キャプチャされた情報の取得が可能になります。

ファイルのダウンロード機能

C2からファイルをダウンロードする機能は、以下のURLパスへのPOST要求によって実装されています。

/zoailloaze/sfuxmiibif/qprbudls

POST要求の一部として、“beau”という名前のパラメータで、ダウンロードするファイルのタイプが指定されます。その値に応じて、特定のペイロードおよび特定のURLをダウンロードできます。コードは以下のようになります。

POST要求の一部として、“beau”という名前のパラメータで、ダウンロードするファイルのタイプが指定されます。ここに示すように、その値に応じて、特定のペイロードおよび特定のURLをダウンロードできます。
図23.ダウンロードコードの例
“beau”の値 アクション
‘1’ 正当なバージョンまたはrar.exeのダウンロード。
‘2’ MetroIntelGenericUIFram.exeのダウンロード。
‘3’ SynLocSynMomentum.exeのダウンロード。
特定のURL 指定されたURLからのダウンロード。

表5 サンプルダウンロードのための“beau”の値

ファイルのアップロード

このマルウェアのサンプルは、さまざまなフォルダに配置されている圧縮済みサンプルを定期的にアップロードするスレッドを開始します。

このマルウェアのサンプルは、さまざまなフォルダに配置されている圧縮済みサンプルを定期的にアップロードするスレッドを開始します。
図24.サンプルによって初期化されるアップロードスレッド

ファイルのアップロードは、以下のパスに対するPOST要求によって実行されます。

/zoailloaze/sfuxmiibif/hortense1

データは、“;”で区切った複数の変数を設定できるPOSTパラメータ“beau”によって指定されています。ファイルは、“terrel”というPOSTパラメータで指定されています。

ここで述べたスレッド、およびC2とのやり取りを通じたオペレータが、アップロードコードを呼び出すことができます。以下は、この実装を観測できるそのようなメソッドの例です。

ここで述べたスレッド、およびC2とのやり取りを通じたオペレータが、アップロードコードを呼び出すことができます。ここに示す例で、実装を観測できます。
図25.アップロードメソッドの例
スクリーンショット機能

スクリーンショットは、Pythonのmssライブラリを使用して、C2に定期的に送信することも、C2オペレータが適切なコマンドを送信した場合はオンデマンドで送信することもできます。

スクリーンショットは、Pythonのmssライブラリを使用して、C2に定期的に送信することも、C2オペレータが適切なコマンドを送信した場合はオンデマンドで送信することもできます。
図26.スクリーンショット機能
ファイル収集情報

コード全体にわたって、情報収集指向の複数のメソッドがあります。このメソッドは、C2オペレータとのさまざまなやり取りに応じて呼び出され、オペレータは収集したい情報の種類を選択できます。

たとえば、以下の複数の図に示すように、特定のフォルダを収集する汎用メソッドとさまざまなレベルで詳細情報を収集する汎用メソッドがあります。

コード全体にわたって、情報収集指向の複数のメソッドがあります。これには、C:\usersおよびC:\Documents and settingsの下のサンプルの収集が含まれます。
図27.C:\usersとC:\Documents and Settingsの下のサンプルの収集
コード全体にわたって、情報収集指向の複数のメソッドがあります。これには、JSON形式での目的の複数のフォルダ下のサンプルの収集が含まれます。
図28.JSON形式での目的の複数のフォルダ下のサンプルの収集の詳細

以下のように外部ドライブから情報を収集するメソッドがあります。

コード全体にわたって、情報収集指向の複数のメソッドがあります。これには、ここに示すように外部ドライブからの情報収集が含まれています。
図29.USB情報収集の例

特定のファイル拡張子に的を絞ったメソッドなど、他の手法もあります。

コード全体にわたって、情報収集指向の複数のメソッドがあります。これには、ここに示すように特定の拡張子タイプ別のファイル情報の収集が含まれています。
図30.特定の拡張子タイプ別にファイル情報を収集する例
ファイルの取得

ファイルオペレータは、ディスクからさまざまなタイプのファイルを収集できる多数のコマンドを持っています。この収集メソッドは、通常は、ターゲットファイルを選択し、C2にアップロードするデータを正当なRARユーティリティで圧縮することで完遂されます。以下の例は、コマンドで特定の拡張子に的を絞る方法を示しています。

この例は、C2コマンドでファイルを選択、圧縮、および収集する際に特定の拡張子に的を絞る方法を示しています。
図31.拡張子タイプ別にファイルを選択、圧縮および収集する例
コマンドの実行

AridViperのオペレータは、C2とのやり取りでコマンドと一種にパラメータを送信できます。これらのコマンドはこのサンプルでは特定の区切り文字‘;’で区切られ、base64でエンコードされて伝送されます。このサンプルではさまざまなオプションが実装されており、オペレータは、特定のURLからのペイロードのダウンロードと実行、プロセスの実行などコマンドを柔軟に実行できます。

このサンプルではさまざまなオプションが実装されており、オペレータは、特定のURLからのペイロードのダウンロードと実行、プロセスの実行などコマンドを柔軟に実行できます。
図32.URLのダウンロードおよびプロセス実行の例